ビバーク実験を中止し、避難小屋へ退避
社会人登山サークルに属する3人でやってみた風雨の11月末ビバーク実験は開始30分ほどで避難小屋へ退避。初めてのビバーク体験を避難小屋の中で振り返ります。
目次
- ビバーク実験を中止し、避難小屋へ退避
- 初ビバークの感想
- ビバーク=とどまる=熱が生まれない
- 濡れたら着替えろ 濡れない環境がないと着替えられない
- そして、温かい飲み物を何とか接種する事。
- 生還者のいう最低限の装備
- 最低限の生き残るための装備は、
- 山は自然の怖さと隣り合わせと知る
- アイテム関連のリンク
気温0度の風雨アリ 丹沢三ノ塔1,204m
3人の装備 レインウエア上下、ダウンジャケット、ビビイ/ツエルト。私はビビイを使用。秋の日帰り登山で動けなくなり、ビバークすることになったという想定でした。
風雨を逃れた三ノ塔避難小屋。4月にできたばかりでキレイという事もあるけど、雨風がない小屋の中は温かく感じました。実際、気温は8度くらい。
バーナーで沸かした温かいモノを飲みつつ、ビバークの感想が飛び交う
初ビバークの感想
- 0度はツエルトがあっても寒い。エマージェンシーシートだけではムリだと思う。無いよりはマシかもしれないが…
- 非常用に買っていた透湿ビビイは肩から濡れるが、雨風からの御守り効果は高く、ツエルトよりも軽いので日帰り登山は必ず携帯しようと思う₍ワタシ₎
- 初めてで、ツエルトの使い方がわからない。練習しておくべきだった₍A氏₎
- ツエルト泊で慣れてはいたが、風雨にペグなし、マットなしでは包まるしか思い浮かばなかった₍ワタシ₎
- 灯りがないと非常に心細い。何か予備の灯りも持つほうがいい₍B氏₎
- 汗冷えが時間の経過とともに来る。面倒くさがらず着替えが大事
- 使い捨てカイロが非常に有効だった₍さらに低温だと発熱する?₎
- テルモスにお湯よりもバーナーがあるほうが小屋で暖が取れるから安心
- 温かい飲みものが何よりもありがたい
- 地面からの冷気がつらい。携帯座布団、イスが良いかも
- シルクのインナーシーツがマフラーとしても防寒機能した₍ワタシ₎
- 顔が濡れるとストレス。
- ビバークは眠れないと考えたほうがいい。
- 夜歩くと視野が狭いリスクがある。翌朝、崩落個所のヤバさに気が付かないまま脇を通過していた事に気が付いてビビる。
- ザックを背中にひくためにザックの中身を入れられる防水スタッフサックがあると便利。
- ツエルト、ビビイが靴で汚れない為に靴の上からビニール袋があるといい
ビバーク=とどまる=熱が生まれない
日帰りの登山、小屋泊で月に2回はお山プランの我々。参加率のばらつき、雪山の程度の差こそあれ、今日ほど防寒不足で凍える事はあまりなかった。
動かない、動けないというのがこんなにも体温を奪われていくとはと痛感しました。
振り返ると、食事時以外はずっと動くし、食事は長くて1時間で温かいものを食べて出発。途中で雨でも熱が発生し、濡れてもさほど困ることがなかった。
しかし、今日は0度近くで風雨に晒されて温かい飲み物もなく20分もすると…汗冷えも加わって当然寒いという事がよく分かった。
気温が低い場合、屋外で動かないってことはそれだけでリスクが高いんだなと身にしみてわかりました。
ワタシはむかし、学生のころに所属していたワンゲルでの先輩の言葉を思い出しました。
濡れたら着替えろ 濡れない環境がないと着替えられない
日帰りで速乾ドライウエア、防水用品の向上で着替えの大切さを忘れてた。しかし、仮に、すべての着替えがあったとしても、風雨の中で着替えるのは濡れては着替える意味がない。
となると、ツエルトで雨に濡れない空間を作って、着替えるのがベストという事でしょう。風があると…大変だ。
そして、温かい飲み物を何とか接種する事。
バーナーがあればお湯を沸かせると思っていたけど、風雨の中、ツエルトにくるまってお湯を沸かせるかと考えるとムツカシイというか、寒さ、風雨に耐えるのが精いっぱいでお湯を沸かそうという発想にはならなかったです。冷えを感じた時点で温かい飲み物を摂取したら違うのかもしれません。
下山時、いや、山行当日に天候の悪化が予想されるなら、お湯だけでイイからテルモス、魔法瓶に入れておくのがベストでしょう。
その場でお茶を飲まなくてもお昼や休憩時にお湯を沸かしてテルモスに入れておくという習慣を持ってもいいかもしれない。
何かあった時のための火の携帯ではあるけど、何かあった時にはクッカーを出してガスで湯を沸かす余裕がない可能性の方が高い。
OD缶のガスのコストが気になる人、気持ちわかります。カセットボンベからOD缶へのアダプターを使うとコストが激減します。
重たいのがイヤでバーナーを持たない方、非常用に持つなら小さいOD缶110でガスは半分の50gも入っていれば十分。マイクロバーナー25g。湯沸かしのカップを合わせて200gでいつでも確実に温かいものが飲めるなら持っておいた方がいい。
エスビットなと固形燃料でもより軽量で湯沸かしくらいならいいかもしれないが、暖を取るために長時間灯けておくことができるのはガス。
今回、小屋に逃げ込んでから朝までの5‐6時間はガスバーナーを二灯、暖を取るためにつけっぱなしました。小屋とはいえ、広い空間に三人だと夜明けのその時までずっと冷却され続ける感じでサムイサムイ。
カイロとガスバーナーが無かったら8度くらいの小屋でも厳しい。汗冷えがずっと後を引きました。
生還者のいう最低限の装備
夏山でも動けなくなって凍死するケースは非常に多い。
御嶽山噴火で山頂付近で噴石が当たって動けなくなった方の体験談で印象に残ったのは、私が生き残れたのは最低限の装備を持っていたからというコメントがあった。
比較的誰でも登りやすい御嶽山山頂には、防寒具をあまり持たないで被災し、寒さで夜を越せなかった登山者が多くいたという。
どこまでが最低限の装備なのか、今回のビバーク実験は見直すきっかけになりました。ホント寒かった。断熱マット、ダウンパンツが欲しかった。しかし、それはいつも携帯するものではない。
最低限の生き残るための装備は、
ヘッドライト、雨具、防寒着₍夏山でも₎、ツエルトかビビイ、着替えかと思うに至った。
非常用装備考察
- エマージェンシーシートだけでは絶対に足らない。
- ツエルトがやはり安心度高いが、400gはちょっと重い?
- ビビイでもしのげそうなので日帰りは軽量のビビイが良いと思う
- 火器はガス110OD缶、マイクロバーナーBRS-3000t、直火可能なアルミカップかメスティンが軽い。
- コンパクト座布団は休憩時にも役立つ。100均でもいいかも
- カイロは一つあるだけで違うので保険で持つ。
- コクーンシルクインナーシュラフは軽く小さく避難小屋でも役立った(マフラーとしても使えた)
最終持ち物リスト
- 雨具ゴア上下
- ヘッドライト
- 火器セット(ガス、バーナーBRS-3000t、メスティン)
- テルモス500㏄
- 非常食、行動食
- 着替え(汗冷え対策でTシャツ、下着、靴下)
- ビビイ
- コクーンシルクインナー(エクスペディションライナー)
- スマホ用バッテリー兼予備ライト
山は自然の怖さと隣り合わせと知る
観光登山、トレイルラン、スピード登山でちっぽけな荷物の人、よく見ます。せめて雨具くらいはと思いますが、雨具の上しか持たず、レインパンツは持たないという人もいるらしい。誰もがつまずいて転倒し、動けなくなる可能性はあるわけで、自然偶発的なアクシデントも発生する。必要な装備を持たないのはドMの自殺願望者。
御嶽山の噴火、山頂で生き抜いた方の生死を分けたのは防寒具。
↑予期できない噴火。しかし、その先の生存方法は普段の山登りでも同じ。まずは防寒し、朝を迎えられる事だ。
誰もが山を楽しみに来てはいるけど、時に、動けなくなれば容赦なく自然の猛威に晒されるのだという事を忘れてはならないし、耐えられるようにして準備しておかないと耐えられずに死ぬ事がよくわかりました。
安全に、無事に生きて、末永く山を楽しみたいものです。