遭難したらどうなる?風雨のビバークを実験してわかった厳しい寒さとストレス

エスケープビビイで耐え凌ぐ

目次

遭難経験があり、助けられたこともある私。山仲間と、実際にビバークしたらどうなるのか実験してみたいと声をかけて実現した実験です。

結論から言いますと、ビバーク(山での野宿)は用意がないと耐えられるものではなく、本当に死んでしまうなと痛感しました。

ウルトラライト志向が強く、防寒着や雨具の下を持たない登山者が多いと思いますが、本当に危険だとわかりました。

11月の下旬、気温0℃の丹沢、避難小屋の脇で試してみたビバークの記録です。

11月末、風雨の丹沢三ノ塔でビバーク実験

気温は0度付近で、風は片手で傘が持てないくらい。時刻は夜中~朝。寒くなったら三ノ塔の避難小屋に速攻退散予定で、山仲間3名と三ノ塔避難小屋の脇でビバーク実験しました。

初めのうちは秦野市内の夜景が見えていましたが…

遭難経験はあってもビバーク経験はないワタシ。実際にビバークってどんなものだろう?山仲間と2名と実験。日帰り登山で下山ができなくなったと想定。ひとりではやらないけど、何人かいるならやってみたという感じ。

ツエルトで足りるのだろうか?

エマージェンシーシートでは心細い。かといってツエルト(簡易テント)で一晩あかせるのかな? やったことが無いのでわからない。大丈夫でしたという話もあまり検索にヒットしない。

真っ暗な山中はヘッドライトのみが頼り

この日は小雨が降るあいにくの天気模様。ビバークテストなので、雨天決行で予定通り3人集合。レインウエアを上下着て三ノ塔へ登山開始。何度目かのナイトウオーク。

鹿の目が光るのも見慣れて来たが、光る都度、クマじゃないよね?と一瞬の不安がよぎる。

ワタシはテントを使わずに今までツエルト泊を好んでいます。今回は断熱マット、エアマットなし、ペグなしで、ツエルト、ビビイをお守り代わりに持っているケースを想定。

緊急ビバークの場合はどうなのか。秋の丹沢を歩く格好、雨具の上下と毛糸の帽子にダウンが主な防寒具。仲間の二人はツエルト使用自体が初めてで、防寒具は同じ感じ。

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真っ暗な登山道を歩く危うさ

何度も登っている三ノ塔ですが、闇夜にヘッドライトでは視野が狭く、今どこで、どれだけ進んでいるのかよくわからなくなります。まだ?まだ?となる。

また、夜道は怖いと思ったのが、気が付かずにふつうに通った立ち入り禁止ロープの脇が実は崩落して崖でした。崩落に気が付かず、危ないところだったことが翌朝判明。 まさか崖になっていたとは…↓↓↓

崖の中腹にある白いのが帽子

帽子が落ちていたのに気が付き、なんで取らなかったのかなぁと思ったのですが、この崩れ方なら取れないですね。

夜の滑落の危険を感じました。

ビバーク開始

あいてて良かった避難小屋。ヤバい時は逃げ込む

三ノ塔の避難小屋、今年の4月に新しくなったそう。前の青い三角屋根のイメージだったので驚く。

中は大きなテーブルと丸太のイスが沢山。まだ新築の雰囲気で誰もいない。

こんな昼間から雨の日に避難してる人はいないわな(笑) 戸が閉まると静かで、風がないだけで温かく感じる。

もうこのまま出たくないんだが…それでは実験にならないので雨降りしきる外へ。

現時点で外気温は怪しい温度計によると0度。上下のゴア雨具、ゴアのレインハット、ドライのTシャツに速乾ゴールキーパー長袖にダウンジャケットを追加で着用。

登ってきた後という事もあり、さほど寒くはない状態。

本来なら登ってきた菩提峠側には関東平野の夜景、小屋の先には塔ノ岳が見えるハズなのですが、ガス、雨、風でナンも見えない。比較的地面に草があり、平らなところ、小屋の西側でビバークすることに。

ザックを空にして背中にひく準備

ザックの中身を防水スタッフサックへ

登山道の脇、草地に砂利が見え隠れして、雨に光ってる比較的平らな場所に寝床を決めた。

まずはザックを下に敷いて大地からの冷えを避ける作戦。ザックの中身は防水スタッフサックへ放り込む。着替えなど柔らかいものはまくら用へ、スマホ電子機器は別の袋へと分ける。

ザック自体はスーパーのビニールに入れてコシの下へ。ザックカバーは雨に弱い電子機器系をさらに包んで防護力アップ。

後でメンバーとも話したけど、こういう時にはやや大き目の防水スタッフサックの軽いのがあると無造作に放り込めて便利。

私のは薄くて20Lくらいのsea to sumitのやつ。防水なので小川で水を汲んだりするのにも使えるかともくろんではいるが、汲んだことはない。

背中にザックをひいて横になってみる

ビビイに入ってみたところ

腰から背中へザック、アタマには防水スタッフサックまくら。これで横になれる。そうしているうちにも雨は続いている…つばの広いレインハットのお陰でさほどストレスは少ないけど、野球帽タイプなら首周りから浸水がしてイヤだろうね。

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お仲間A隊員は小屋の軒下でツエルトをかぶっていつもの携帯椅子に座ってしのぐ作戦。携帯椅子はオシリが地面に接しないから寒い時期、地面からの冷気が伝わらない。コレはかなりいい作戦だとのちに判明。

携帯イス&ツエルトは意外と妙案

エスケープビビィを試す

ワタシはツエルトを使う前に、ツエルトよりも軽いビビィを試す。ビビイはそもそもツエルトの無いヨーロッパで、寝袋カバーみたいなものでそのまま寝てしまおうというモノ。

私はツエルトの中で結露、浸水に備えるために買っていたモノ。私のビビイは封筒型の中華ノンブランド。でも、コレ、透湿性のある130gでかなり探しまくったものなんです。それはさておき、

風にバタつく広げたビビィ。普段なら靴を脱いでビビィなり、ツエルトに入るのですが、風雨に晒されてたら、んなことはやってられない。登山靴の上から用意したスーパーの買い物ビニールを履いて腰を浮かせてモゴモゴ。オレンジのイモムシに。

キツイ…防寒で着たダウンで着ぶくれして狭いぞ(笑) これはイモムシより腸詰に近い。腕がキツイけど、雨、風の当たる上部は寒くない。ひとまずはビバーク体制に。意外とイケるんちゃうか?

風にあおられるツエルト

ビビイはスポッと入るだけだが…周りでは同行者、T氏ががツエルトを風にあおられてバサバサ四苦八苦。張縄とポールでツエルトを張ることはあきらめて、包まりたいだけなのだが…立ってやるから、バサバサバサバサ鮮やかなアライテントのツエルトがカラダに張り付いてたイエローモンスター。前が見えなくなってうごめく姿がわらえ、↓この映画、プリシラのバスの上で衣装がたなびくワンシーンが蘇った。

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忍び寄る冷え

一応、手持ちの防寒アイテムは全て身にまとうことができたが…

5分、10分、20分と風雨に耐えていると冷気がどこから来るのかよくわかった。

まず、肩だ。ビビイは封筒型でマミー型のシュラフのように顔を出して紐で口をすぼめるタイプではないので肩が出たままなのです。ソコから熱が逃げる。

そしてオシリ。下にひいたザックに乗りきらないオシリが冷たく寒い。やがて寒いからイタイにかわる。ザックの上にある、アタマ、膝を立てて脚は寒くないが、地面に接するオシリが寒いのでした。

気温以上に風雨がキツイ

対策を練る。

ビビイでは足らない肩を守るべく、ツエルトを取り出して背中側からツエルトを前側に包み込むように巻く。ビビイだけでは0度近い風雨の中では寒くて足らないという事。これで肩は守れたが…次なる問題が…それは手。

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濡れた手袋がキンキンと冷えてくる。

薄手の手袋に重ねて使っていた防寒ゴム手袋は指先が使えないので、外して薄手の山手袋でビバーク支度をした。その結果、その間に雨でぬれた手袋が、防寒手袋に戻したあとで、しんしんと冷えてきた。ウー。手袋が濡れてしまうのはこんなに辛いかぁ…。日帰りでも防水の手袋はあった方が良いですね。

そして冷えた汗が熱を奪っていく

手の冷え、お尻の冷えが気になってきたころ、アレ?脚が、太ももあたりがすーすーする。「なんだか寒くない???」近くで寒さに耐えるT隊長、A隊員も同意見。

外からの雨、風に対する防御は気にしていたけど、登るときに出た汗が気化して熱を奪う事はあまり考えなかった。上半身はダウンを着て防寒したが、下半身はツエルトなり、ビビイの薄い生地一枚で防風雨しているに過ぎない。

コレは風邪をひく。避難小屋に撤収!

時計を見ると30分耐えていなかった(;^ω^)

次回、小屋に逃げ込んで考えた最低限の必要装備に続く

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