夏用シュラフ、インナーシーツの保温性、更にビビイを重ねて使えば、超コンパクトに軽い寝袋システムになるのでは??という、妄想に近い実験を神奈川県丹沢の3月の避難小屋で実験してみました。
春の訪れを感じる3月。下界では20℃の丹沢で実験
3月中旬、西丹沢の避難小屋でちょっとした実験体験。軽量目線の寝具、防寒具がどの程度効くのか。
実験 やはり山は冷える…!
3月12日。自宅からこの小屋、西丹沢畦ヶ丸避難小屋までの直線距離は25㎞。前の日が上着要らずで汗ばむ20度近かったこともあり、それほど寒くはないでしょうと予想。
今回の一泊は西丹沢の避難小屋。夏の縦走を想定して、最軽量のテント泊装備にZウレタンマットとまだ寒いカナという準備での登山。避難小屋は老朽化のために改築予定₍予定期間内₎でしたが、使用できると聞いての宿泊。トイレ、暖炉もありますが、取り壊し予定なので、使用せず。
ウエア
衣類は化繊の速乾Tシャツに速乾長袖を重ね、ドライの下着にワークマントレッキングパンツ。レインウエアはモンベル軽量のバーサライト上下にダウンジャケット、中華ダウンパンツ₍めちゃ寒い時用) オマケに軽いカシミアのストール。
寝具
寝具は世界最軽量夏用シュラフ245g₍使用下限温度10℃₎と、+5.3度の防寒性能を誇るというコクーンのインナーシュラフ、御守りの中華透湿ビビイ、緊急用ツエルト、ウレタンの中華ノンブランドZ型断熱マット、ハーフサイズにカットした1000円270g×1/2のエアマットをもっての登山でした。
エアマットは真ん中でわかれており、半分空気が抜けてくるようになったのでダメな方をカットし、ハーフサイズでの初運用。かなり使い倒しています。
想定外に寒い 実際2℃
ウレタンマットに半身のエアマット。R値なんて表記無しの中華モノ。エアマットは6㎝の厚みがあるので℟値は1、ウレタンマットで1として合計2くらいでしょうか。ダウンジャケットを着て、限界下限温度10度の夏用シュラフだけではムリと判断し、+5.3度のインナーシュラフを中に重ねて、スペック的には5度までは引き上げたのですが…まだ寒い!
残る防寒具はレインウエア、透湿ビビイ、ダウンパンツ、ツエルト、カシミアのストール
寒さはジワジワ地面側から来る!断熱がキモ!
お守り透湿ビビイも導入
インナーシュラフ+夏用シュラフでオレンジの透湿ビビイに入ってみる…まだ寒い。不思議と2分くらいで寒さがマシになります。ビビイ内の空気が温まり、銀色のアルミ蒸着が熱を反射するためでしょうか??カラダの上側は寒さは感じなくなりました。
いくつもの空気の層が断熱を生むわけですが、背中側は自分の体重ですべてがペッタンコですから、透湿ビビイのアルミ蒸着も意味がないのですね。カラダをもって体感。床にビビイおいて触っても冷たいのは当たり前。
意外と効く。カシミアのストール
ひざ掛けとして私が山、キャンプでは持っていくアイテムのひとつ。バーバリーの茶色のチェック柄もどきで、どこかのリサイクルショップで200円くらいで買ったモノ。何気にホンモノのカシミアなので軽くて暖かい。カシミアって知らないで売っていたんでしょうね。カシミアは使った人はご存じかと思いますが、実に温かいです。高級すぎるのでアウトドアには使われない素材も、200円なら使うでしょ?かけ布団のように掛けたらかけたところだけ暖かい。背中側にひいても細かな繊維の弾力のお陰でふつうのマフラーと同じ程度の厚みですが、断熱効果が高い。だいぶ、寒さ改善が行われて来ました。寒くはないカナ…くらいのレベルまで改善。
カシミアのウールは実は屋外でこそ生きるのかもしれない。穴あきでもいい、マジで軽くて暖かいと実感。
ダウンパンツは防寒最強衣類
まだまだ快適とは言えない寒さ。ついで的に、まくら代わりに持ってきておいたのが良かった。中華大好き、安いネイチャーハイクのダウンパンツ。でも、履いたらポッカポカ。下半身はダウンパンツであったかく、カシミアで上半身をくるんで温かく眠れる環境に。
Amazonのレビューには膨らまない粗悪品などとあるが、私のはちゃんとモコモコして軽く、温かい。しっかりと天然ダウンが入っているのでオシリ側も寒くない。250gではあるけど、効果は非常に高く安心できました。履いて動けるから、風が強い稜線を歩くときには効きそう。
購入して二年。この実験で気に入ってしまい、冬はおうちの中で日常使用。ダウンはまだヘタっていません!9,000円で買って、3シーズンあたたかく使いましたのでもう元は取った感じ。
まとめ 薄手のモノを重ねても接地面がキツイ
カシミアストールは万能。
地面からの熱を遮るのが一番難しいという事。ビバーク実験の時もそうだった。想定して大丈夫と思える寒さ対策を超える寒さに直面した時、マジでヤバいことになると思うと、ダウンパンツ、カシミアのストールは余裕をもって持っていく選択肢にランクインです。特にカシミアは軽く、羽織ってもいいし、おしりに轢いてもいい優等生ぶりを痛感。先日久々に仲間と登った硫黄岳でもザックに入れていきました。
ビビイ、ツエルトは思ったほど温かくない。
ビビイはホントにビバークで風雨から身を守ることはできても、冷たい外気、床と体の間に断熱層がないダイレクトに冷えることが良く分かった。
冷たいモノと自分の体の間をいかに断熱するのか、真っ暗な取り壊し前の避難小屋でひとり、身に染みてわかりました。
サーマレストに代表される形状の波型のウレタンマット。いまだに一定の愛用者がいるのはウレタンのポコポコとした凹みに空気層ができて断熱効果が約束されているからだと解りました。学生時代にお世話になったブルーにアルミ蒸着の平らな安物はカラダとマットがペタッと接して、寒い。サーマレストは高いし、かさばるし…って思っていましたが、アレは寝心地ではなく、断熱のための凸凹なんだなと学んだ夜でした。
ビビイは効くのか?秋山日帰りで動けなくなった想定
こんな実験もやっています。ビビイは軽く、コンパクトだけど、それだけでは足りない。軽量化した装備の分、ダウンジャケットなど持つことが生死を分ける。